お不動様のひとり言

お不動様のお言葉に乗せた、ほのぼの心嬉しいお話のブログ。

私は佛様の中でも、お不動様が大好きです。
お不動様のお名前の由来は、ゆるぎない悟りを求める心…ということです。

絵像では、燃え盛る火炎を背負い、眷属(けんぞく)の矜羯羅(こんがら)童子と、
制多迦(せいたか)童子を従えているのです。

このお不動様のお言葉に乗せて、
ほのぼのと心嬉しく豊かになるお話をしたいと思います。

斎王と言えば、上賀茂・下鴨の「斎院」と伊勢の「斎宮」を指すらしい・・けど、今回は伊勢の「斎宮」について教えて!

日本書紀崇神天皇6年条によれば、百姓の流離や、背叛(はいはんー背き歯向かうこと)等、国内情勢が不安定になった時、崇神天皇は、その原因が後の「伊勢神宮内宮」の御祭神であらせられる「天照大神」と、後の「大和(おおやまと)神社御祭神」の「倭大国魂神(やまとのおおくにたまのかみ)」の2神を、大殿(みあらか)に祀ったことにあるとお考え遊ばした。

神様の勢いがありすぎて、共に暮らす事が出来ないとお思いになったのだ。
そこで「天照大神」は、豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみことー崇神天皇皇女)に付けて、倭の笠縫邑(かさぬいむら)に祀らせた。
それで磯堅城(しかたき)の神籬(ひもろぎー神霊が宿るとされた場所の周囲に常盤木を植え巡らし、玉垣で囲み、神聖を保った)を立てたと言われておる。

一方「倭大国魂神」(やまとのおおくにたまのかみ)は、渟名城入姫命(ぬなきいりびめのみことー崇神天皇皇女)につけて祀らせようとしたが、命の髪が抜け、体も痩せたので神を祀る事が出来なかったと言う。

垂仁天皇の時に、老齢になった豊鍬入姫命は、斎王の任を退き、倭姫命(やまとひめのみことー垂仁天皇皇女)が、この後をお継ぎになった。
この方は、古代の英雄、倭建命(日本武尊―やまとたけるのみこと)の叔母にあたられる。

倭姫命は、「天照大神」を御鎮座させる場所を求め、宇陀から近江・美濃を巡り、「伊勢の国」に入られた。
この地で初めて「天照大神」が、満足の意を表されたので、この国に社を建て(伊勢神宮の始まり)、「斎王」が忌み籠るための宮を、五十鈴川のほとりに建てたのが、「伊勢斎宮」の始まりとなるのじゃ。

斎宮」は、「斎王のための宮」を意味していたが、後には「伊勢の斎王」自身を指すこととなる。

制度上最初の「斎宮」は、天武天皇皇女、大来皇女(おおくのひめみこ)からで、ここから南北朝時代に廃(すた)れるまでのおよそ660年間続いたのじゃ。

天皇様の御代替わりがあれば、「斎王」も変わる。
天皇様が身罷られた(みまかられたー亡くなった)時や譲位された時に任を解かれ、「斎王」ご自身が罪を犯したり、身内に犯罪者が出た場合には、これが「事故」と見做され、不名誉な形で都へ連れ戻されたのじゃ。

卜定(ぼくじょう)で「斎王」が決まれば、勅使が遣わされその旨を告げる。
「斎王」は鴨川で禊し、「初斎院」に入られ、ここでおよそ一年間潔斎(けっさい)する。この後再び鴨川で禊し、次に野宮(ののみや)に入り、丸一年間静かで、簡素な生活を過ごし、3年目の9月吉日、ようやく伊勢へと旅立って行く。

この旅立ちの儀式が奥床しい。まず「斎王」は川で禊し、輿(こし)に乗り宮中に入る。
そして大極殿(だいごくでん)でお待ちになる、天皇様の側に設けられた座に着く。
此処で発遣(はっけん)の儀式が行われる。

天皇様は「斎王」の前髪に「別れの小櫛(おぐし)」をお挿しになると、『都の方へ赴き給うな』と仰せになる。
「別れの小櫛」を挿した後は、互いに見返らないしきたりであった。
「斎王」が行列を揃えて、伊勢まで行くこと・任を終えて伊勢から都へ帰ることを、群行(ぐんこう)と言った。
先の「別れの小櫛」は、群行最初の宿、近江国府で外された。

また斎宮関係の仕事を司る役所を「斎宮寮」と呼ぶが、遺跡を見る限りでは、140haもあった。
伊勢での年中行事は、1月1日の神宮遥拝や農耕関係行事、さらには宮中に準じた行事並びに斎宮を清める行事などもあった。
毎月朔日は、忌火(いみび)・庭火祭(にわびのまつり)という「清浄な火」を祭る行事もあったという。

「斎王」が「伊勢神宮」へ赴くのは、「三節祭」(さんせつさい)と呼ばれ、6月と12月の月次祭(つきなみさい)・9月の「神嘗祭」(かんなめのまつり)の時だけであった。これらは全て、非常に重要な祭祀だと言う事が出来よう。

随分長々と書き綴ってしまった。
かつてその生涯をかけ、朝廷や民・百姓のために、「神に祈り続ける」お役目を引き受けて下さった「ひめみこ」達。
この「祈る存在」を知らない日本人が多すぎる。

そこで知られざる「ひめみこ」の存在を知って欲しいと思い、前回の「斎院」と今回の「斎宮」について、縷々書き綴った次第じゃ。

「スメラミコト」の霊魂を伝える「ひめみこ」の存在も、今の日本の繁栄を潜在的に下支えしている事を、改めて知って欲しいと思うのじゃ。