どうすれば、心を正しく保つ事ができますか?
幕末に「黒住教」を立てた、黒住宗忠(くろずみむねただ)と言う神道家がおった。
この方は「人の道」の中の「親孝行」を極め尽くし、親神様としての太陽の神・天照大御神様に行き着き、大悟なさったお方じゃ。
宗忠さんは、ごくごく当たり前の日常と徹底的に向き合い、常に誠実で、無欲な生き方を貫いた。
とりわけこの方の凄い所は、何事も自分の心次第で変わると信じ、これを実践したことにある。
宗忠さんは、「日々家内心得之事」として、次の七カ条を記しておられる。
一 神国の人に生まれ常に信心なき事 恐るべし恐るべし
一 腹を立て物を苦にする事 恐るべし恐るべし
一 己が慢心にて人を見下す事 恐るべし恐るべし
一 人の悪を見て己に悪心をます事 恐るべし恐るべし
一 無病の時家業怠りの事 恐るべし恐るべし
一 誠の道に入りながら心に誠なき事 恐るべし恐るべし
一 日々有難き事を取り外す事 恐るべし恐るべし
そしてこの止めの和歌として
立ち向かふ人の心は鏡なり おのが姿を移してやみん
とある。
この七つの教えの中には、心を正しく保つ為の極意が語られておる。
まず一つ目は、人間は自分の力で生きているのではなく、目に見えぬ何かによって生かされておる。
これを肝に銘じて生きる事。
二つ目は、腹を立てることによって冷静さが無くなり、物を苦にして物事を悪く考える様になると、自分も他人様も傷付けてしまう。決して腹を立てぬようにする事。
三つ目は、自分を過信する事で、周りの人が劣っていると考えてしまう。
常に謙虚な心と向上心を持って生きよ。
四つ目は、人間の心は弱く易きに流れるもの。常に自分を内省し、律する強い心を持った人となる事。
五つ目は、自分が為すべきことを、陰日なたなく徹底的に行う事。
六つ目は、天・地・人のあらゆるものに対して、常に誠実である事。
七つ目は、常住座臥(じょうじゅうざが=座るにも寝るにも・いつでも)有り難く生きる努力をする事。
最後の和歌は、出会う人、全てを鏡だと考え、常に内省しつつも相手の立場を理解し、相手を慮(おもんぱか=よくよく考える・思い巡らせる)る心を大切にせよ!と言うお歌じゃ。
以上の黒住宗忠さんの言葉を守って生きてゆけば、「心を正しく保つ事」が、徐々に出来る様になってくるに違いない!