母音読みって何ですか?(1)
どう読めば母音読みになるの?
母音読みは日本語に限定される読み方のこと。
日本語の母音あ・い・う・え・お…に全ての音が帰っていく読み方。
これを敢えて行う事で、母音中心主義の言語表現を、自分の脳内で実現する。
この訓練によって、音読力・日本語発声力・読解力を身につけることができるようになる。
例えば花・夢・犬・猫…と言う言葉があるとする。
これらを日本語で発する場合に、強く母音を意識して母音だけ発音する。
「花」という単語を母音読みすると、「はあなあ」となり、母音だけでこれを表現すれば、「ああ」…となる。
「夢」は「ゆうめえ」となるから、「うえ」という母音が残る。
「犬」は「いぬう」だから、母音だけ抽出すれば「いう」である。
「猫」は「ねえこお」となって、母音は「えお」と発音される…と言った具合である。
こうして母音読みに慣れてきたら、名文を読んでみることをお勧めする。
はじめは俳句・短歌・詩などの韻文で練習し、母音の連なりを感受して欲しい。
例えば、芥川龍之介の俳句、「青蛙 おのれもペンキ ぬりたてか」という俳句がある。
これを母音読みすると、「あおあえう おおえおえんい ういあえあ」という母音の連なりになる。
因みに「ん」は「ん」以外の音で表現出来ないので、「ん」だけ「ん」と発音する。
少し慣れてきたら散文を読んでみるのが良い。
次にあるのは、菊池寛著の『忠直卿行状記』の一節。
家康の本陣へ呼びつけられた忠直卿の家老たちは、家康からひとたまりもなくしかり飛ばされて散々の首尾であった。
これを母音読みすると、
いえあうお おんいんえ おいうえあえあ あああおおうお あおうあいあ、 いえあうああ いおああいおあう いあいおああええ あんあんおういえああ。
…と言った具合になる。
母音読みは最初のうちは慣れないために、母音探し?に時間がかかるかもしれない。
しかし慣れてくれば、瞬時に母音を手繰り寄せる事が出来るようになる。
習得が遅い人でも、一ヶ月費やせば、誰でも母音読みが出来、母音読みすることが楽しくなってくるから不思議だ。
明日は母音読みの効用について話したいと思うのじゃ!