お不動様のひとり言

お不動様のお言葉に乗せた、ほのぼの心嬉しいお話のブログ。

私は佛様の中でも、お不動様が大好きです。
お不動様のお名前の由来は、ゆるぎない悟りを求める心…ということです。

絵像では、燃え盛る火炎を背負い、眷属(けんぞく)の矜羯羅(こんがら)童子と、
制多迦(せいたか)童子を従えているのです。

このお不動様のお言葉に乗せて、
ほのぼのと心嬉しく豊かになるお話をしたいと思います。

舞踊という言葉は「舞う」と「踊る」で出来ていますが、舞踊の本質について教えて!

舞踊という二文字熟語は、農耕民族の特質を持つ「舞の文化圏」と、遊牧民族の特質を有する「踊りの文化圏」がうまくミクスチャーされた言語と言えよう。
各々の文化圏の差が、舞踊様式に多大な影響を与えているのだ。

「舞」の特徴は、腰を据えゆっくり動くことにある。
よって「能」の動きのように、引力に寄り添って動き、大地を掴み大地を畏愛する事で成立する動きである。

一方「踊り」のそれは、跳躍(ちょうやく)と回転に特徴がある。踊りはバレエに見られるように、引力を踊り手自らが遮断する事で、天空を目指す動きである。
両足跳びする事で豊穣を寿ぐ動きにもなるという。

前者は東南アジア全域に広がる農耕民族の生活圏で、「舞文化圏」ともいうべきもの。
後者は、ユーラシア大陸中央部から、西はイベリア半島、東は満州から朝鮮半島まで覆っている、いわゆる遊牧民族が住まう地域で発達した「踊り文化圏」を形成している。
人間の日々の営みの中から誕生した舞踊とは、まさに人間存在そのものの様相を呈している。

尚、『身体の零度』を著した三浦雅士氏によれば、西アフリカのナイジェリア・ガーナ・セネガルを旅した際に観た「民族舞踊」の根幹ともいうべき部分を明らかにしている。

各民族が住まう地域ごとに舞踊が異なっていながらも、共通項も見出されるという。
ガーナは、海岸地帯・森林地帯・サバンナの三種の地域に分かれているとし、砂地に接する海岸地帯の舞踊は、「蹴る」ことに集中しているという。
また森林地帯では、頭上の木を伐採することから、いわゆる中腰で歩きつつも、時には大きく跳び上がる動きを見せる。
これがサバンナ地帯になると、腰を屈めて、爪先立ちで踊るというのだ。

前述した農耕民族の「舞」と遊牧民族の「踊り」の他に、狩猟採集民族による「舞踊」が存在するというのだ。

ガーナでの三地域に共通する動きは、如何なる動作であっても、素早く反応し、瞬時に肉体を移行することが出来るよう、中腰の姿勢をとる特徴を持っている…ということだ。

遊牧民族が腰を伸ばし、農耕民族が腰を落とす。
ところがこの中腰という身体の用い方は、遊牧・農耕が開始される以前に存在した「身体所作」だったのではないか?

世界舞踊地図を描くとすれば、狩猟採集民族の舞踊を初発とし、続いて農耕民族の「舞」と遊牧民族の「踊り」が対になって描かれる…ということが出来よう。

人間が舞踊と切っても切れない関係性を保っている根源には、人間存在の本能的部分が深く関与していると言わざるを得ないのだ。