お不動様のひとり言

お不動様のお言葉に乗せた、ほのぼの心嬉しいお話のブログ。

私は佛様の中でも、お不動様が大好きです。
お不動様のお名前の由来は、ゆるぎない悟りを求める心…ということです。

絵像では、燃え盛る火炎を背負い、眷属(けんぞく)の矜羯羅(こんがら)童子と、
制多迦(せいたか)童子を従えているのです。

このお不動様のお言葉に乗せて、
ほのぼのと心嬉しく豊かになるお話をしたいと思います。

「正月事始め(しょうがつことはじめ)」って何なの?

平安時代から江戸時代前期まで使用された「宣明暦(せんみょうれき)」によれば、旧暦の12月13日を、「鬼の日」としている。
この日は婚礼以外は、全て「吉日」とされ、来たるお正月の準備にピッタリの日であった為、「事始め」の日に選ばれたという。

正月準備を始める12月13日は、昔であれば、この日に門松(かどまつ)や雑煮(ぞうに)を炊く為に必要な薪(まき)を、山へ採りにいく習慣があった。
今でも、煤払(すすはら)い・松迎えなど広く行われている。
正月準備は28日までにし、29日は「苦の日」ということで避け、31日も「一夜飾り」と言って、お正月準備には向かない日だとされている。

前述の煤払いは、新しい年神様(としがみさま)をお迎えするために、一年分の汚(よご)れ・穢(けが)れを払う必要があった。
昔は各家庭に囲炉裏(いろり)があったため、煤払いは「正月事始め」には無くてはならない、最初の仕事でもあった。
今では、社寺で煤払いをし、ご本尊様をお清めすることを指すことが多い。
一般家庭では神棚や仏壇の掃除を行うのが慣例となっている。
一年の穢れを祓う行事として、現在でも重要な行事だと言えよう。

また「松迎え」と言って、「正月事始め」の日に、門松などを山へ採りにいくことは前述の通りである。
松迎え」には、年神様を山からお迎えする意味も含まれている。
さらに松には「神霊」が宿るとされ、「神を待つ木」ということから、「松」と名付けられたと言われている。

かつては松を切り出すのは、一家の主人か新年の年男の仕事とされていた。
切り出した松は、清らかな場所に保存され、門松に仕上げられたのだ。

また「餅つき」も29日の「苦餅(くもち)」と31日の「一夜餅(いちやもち)」を避け、神聖な餅がつかれた。
正式には米を蒸すセイロや、臼(うす)には、注連縄(しめなわ)をし、臼の下には塩で清めた藁(わら)が敷かれたのだ。

またこの日、お稽古事の世界でも「事始め」となる為、日本舞踊の場合は「扇子」を、茶道の場合は、「袱紗(ふくさ)」や「茶扇子(ちゃぜんす)」を、お師匠様から頂き、芸事に精進する事を誓うのである。
この時お師匠様から「善哉(ぜんざい)」などを頂くことも多く、新年への決意を新たにしつつ、心がほっこりする心嬉しい行事でもある。

新年を迎えるにあたって、「正月事始め」は、豊かな日本の情緒と情趣を育む良い機会となっている。
この伝統を幾久しく守っていきたいものである。