「斎田点定(さいでんてんてい)の儀」って、どんな儀式なの?
皇居・宮中三殿で、5月13日行われたのが、「斎田点定の儀」(さいでんてんていのぎ)なる神聖な儀式じゃ。
何故(なにゆえ)神聖かと言えば、大嘗祭(だいじょうさい)の中心的儀式である「大嘗宮の儀」(だいじょうのぎ)で用いる米。
これを育てる「斎田」を決める際に、亀卜(きぼく)を行うからじゃ。
古代国家における「占い」というのは、政治的必須行事であった。
古墳時代以前は、鹿の肩甲骨を焼き、ヒビの入り方で、吉凶を占っておった。
これを「太占」(ふとまに)と呼ぶ。
しかし、律令期に入り、ウミガメの甲羅を火で炙りながら焼き、ヒビの入り方で占う…こととなったのじゃ。(しかしながらこの占い方は違っていると主張する人もいるが…)
この亀卜(きぼく)は、古代より神聖だとされてきた「亀の甲羅」(かめのこうら)を用いたもので、亀の甲羅に入った割れ目によって斎田を決定(けつじょう)する。
「令和」では、アオウミガメの甲羅が用いられたという。
これは、特別捕獲が許されている小笠原諸島で調達されたらしい。
この甲羅で亀卜(きぼく)し、斎田に決定(けつじょう)したのが、栃木県(悠紀地方・ゆき)と、京都府(主基地方・すき)だと言う。
この二地方は、今年の新米の収穫のみならず、「大嘗宮の儀」(だいじょうのぎ)の後に催される、「大饗の儀」(だいきょうのぎ)と呼ばれる饗宴。
ここで用いられる調度品や雅楽の曲にも、その風景が色濃く反映されるということじゃ。
例えば、「大饗の儀」の会場では、栃木県・京都府の四季を描いた屏風絵が飾られ、両陛下の御膳近くには、両地方の風景を模した「洲浜」(すはま)と呼ばれる銀製の縁起物が飾られるとか…。
「平成」時の「大饗の儀」では、悠紀地方の屏風絵を日本画家・東山魁夷(ひがしやまかいい)氏が、主基地方は高山辰雄氏がこれを描いた。
洲浜は、国内金工作家の手になるもので、新しい御代にあたり、古の趣きを内に秘め、連綿と続く皇室の弥栄(いやさか・いよいよ栄えること)を愛でるが如く、創作者は各人各様珍重なる作品を創作しておる。
参列者を歓待する雅楽の演奏にも一工夫が凝らされ、悠紀・主基両地方の習俗・文化が取り入れられた曲を、わざわざ「宮内庁楽部」が創作するらしい。
古式ゆかしき行事の数々…とりわけ「大嘗祭」と呼ばれる今上天皇陛下御一代、一回限りの重要な儀式を迎えるにあたって、恙無く準備が整う事を祈念するばかりじゃ!