万葉集が編纂された理由って何なの?
『古事記』や『日本書紀』は、歴史の編纂作業を通じて日本の独自性を表現し、天皇家を中心とする国家形成を目指そうとしている事を国内外に喧伝(けんでん=世間に言いはやし伝えること)するためのものであった。
国外的には『日本書紀』が、国内的には『古事記』がその役割を果たして来たと言えよう。
しかしこれだけでは不十分であった。
一般庶民や帰化人をどう扱って行くか?
これに応えるべく『万葉集』が出来上がったようじゃ。
則ち、「和歌の前の平等」という考え方である。
日本語で歌を作り、それを朗誦(ろうしょう=声高に読み上げること)する者は、皆同じ日本人だという考え方。
先祖が何者であっても、日本語を用いて歌を作れば、遍(あまね)く同じ日本人であると認める事!
これを明らかにするのが『万葉集』編纂の意図であったろう。
『万葉集』こそ中国文化圏からの日本の自立を促す「歌の作品集」でもあったのだ。
4500余首に上る作品の中に、かなりの数の「名も無き庶民の作品」が含まれている点に、世界に誇るべき文化度の高さをみる事が出来よう。
改めて「令和」の根拠となった『万葉集』を繙(ひもと=書物をひらいてよむ)いてみたいものじゃ。