お不動様のひとり言

お不動様のお言葉に乗せた、ほのぼの心嬉しいお話のブログ。

私は佛様の中でも、お不動様が大好きです。
お不動様のお名前の由来は、ゆるぎない悟りを求める心…ということです。

絵像では、燃え盛る火炎を背負い、眷属(けんぞく)の矜羯羅(こんがら)童子と、
制多迦(せいたか)童子を従えているのです。

このお不動様のお言葉に乗せて、
ほのぼのと心嬉しく豊かになるお話をしたいと思います。

新渡戸稲造はどうして『武士道』を著したの?(1)

武士道を著した理由

西南の役」から10年ばかり経った頃の事。
ベルギー人法学者のラブレー教授の元に、教授を敬愛するボン大学留学中の日本人学生から手紙が届いた。
この学生に興味を持ったラブレー教授は、この青年を自宅のあるリエージュに招いて一週間ばかり滞在させた。

ある日、件(くだん)の青年と様々な会話を楽しみつつ散歩する中で、教授はこの青年に対して、次のような質問をした。
「あなたの国の学校では、どのような宗教教育をしているのですか?」と。
青年から返ってきた言葉は、「何もしていません。」というもの。
この返答はラブレー教授にとって、誠に驚くべきものであったという。

そこでラブレー氏はこう続けた。
「あなたの国の学校には、宗教教育はないというのですか?」
「ありません。」と青年は再度答えた。
教授は、「宗教がない…。それではあなたの国では、どのようにして道徳を教えるのですか?」と、繰り返し問いかけたのだ。
この青年はその質問そのものに大層驚いたようで、答えに窮したという。

後にこの青年は米国人女性を伴侶に迎えたが、この夫人からも日本の思想や習慣など、繰り返し質問された事もあり、自分の「善悪の観念」の寄って来たる根源を探索するに至ったという。

南部藩士の家に育ったこの青年にとって、人間の踏み行うべき道は、武士道に依拠することだと思い至ったのである。
青年の名は、言うまでもなく新渡戸稲造(にとべいなぞう)その人である。

新渡戸稲造は、上記のような経緯から、自己の倫理観並びに道徳心の根源を再発見し、『武士道』を著すこととなった。

新渡戸稲造の『武士道』が一番訴えかけたかったことは何か?と言えば、道徳的日本を、意識・無意識両面から下支えしている考え方は、武士道であるということであった。

『武士道』を新渡戸稲造が著すことで、日本人の倫理観や道徳心の根源にある武士道の奥深い考え方を世界に発信することができたのである。