自己存在を確固たるものにするにはどうすればいいの?
流行(はやり)の言葉で言えば、アイデンティティ(identity)の確立と言うべきかのう?
日本人にとっての自己存在=アイデンティティのとらえ方は難しいものじゃ。
そもそもアイデンティティを喪失している人が多いのでなぁ。
民族的に統一され、アイデンティティが確立されている民族は、イスラエルの民を措(お)いて他にないであろう。
イスラエルは、建国と滅亡が繰り返されておる。最後に建国されたのは、確か1948年だったかのう。
それまでおよそ2000年の長きに亘って、イスラエルの人々、則ちユダヤ人達は、世界中に離散しつつも、アイデンティティを失っておらんのじゃ。
これは実に驚異的なことといえよう。
例えば米国に住む日系人は、日系三世ともなれば、日本語がしゃべれず、時に日本人の心も失ってしまう。
それに比べ、ユダヤの民には底力がある。一時は死にかけたヘブライ語さえも、現代では言語として根付いておるんじゃ。
しかもユダヤには、5000年の智慧が集まった叡知の書「タルムード」が存在しておってな。
「何かを失わなければ何も得られない-ノーペイン、ノーゲイン」
と記されていたり…と、危機に瀕(ひん)する(=ある重大な事態が迫ってくること)自己存在を、自己対峙という手法で解決していく智慧が、タルムードに隠されておるんじゃ。
次回は「タルムード」から学ぶ、自己存在の確立について話してみようかの。