お不動様のひとり言

お不動様のお言葉に乗せた、ほのぼの心嬉しいお話のブログ。

私は佛様の中でも、お不動様が大好きです。
お不動様のお名前の由来は、ゆるぎない悟りを求める心…ということです。

絵像では、燃え盛る火炎を背負い、眷属(けんぞく)の矜羯羅(こんがら)童子と、
制多迦(せいたか)童子を従えているのです。

このお不動様のお言葉に乗せて、
ほのぼのと心嬉しく豊かになるお話をしたいと思います。

内村鑑三の『代表的日本人』に学ぶ(1)

西郷隆盛…「敬天愛人」って何なの?

19世紀末、日清戦争の真っ只中に、内村鑑三が上梓(じょうし=出版すること)した『日本及び日本人』という一書がある。
これは日本人の中にこんな立派な人達がいるということを、欧米諸国に伝えたい…という思いが募った一文で、内村氏自らが英文で著した本である。

内村氏はこの13年後に、本の誤りを訂正し主要部分を再版して、『代表的日本人』と題を改め再度出版した。
其処には、1)西郷隆盛2)上杉鷹山3)二宮尊徳4)中江藤樹5)日蓮上人の五人を挙げて、彼らの精神の素晴らしさや器の大きさについて述べてある。
内村鑑三は、この改訂版のはしがきに、次のように述べている。

日本は、私が「我が祈り、我が希望、我が無償の奉仕」を捧げる唯一の国だ。
“my, prayers, my hopes, my service, free”

と語り、続いて、

…我が同胞の良き特性―しばしば日本人に帰せられる盲目的忠誠や血塗れれた愛国心とは別な特性―を、外なる世界に伝える一助となること。それが本書の目的である。

…としているのだ。

この改訂版『代表的日本人』の最初に取り上げている西郷隆盛について、述べてみようと思う!
内村氏は西郷隆盛のことを、「敬天愛人」(けいてんあいじん=天を敬い人を愛すること)と語っている。

西郷は
「至誠の域は、まず慎独(しんどく=他人のいない所であっても、身を慎むこと)より手を下すべし。間居即慎独の場所なり」
と言っている。

不誠実とその落とし子である利己心は、人生の失敗の主な原因である。

「総じて人は己に克つを以って成り、自ら愛するを以って敗るるぞ。 (中略) 我々は命がけで、人生のあらゆる危機に立ち向かわなければならないのだ。 (中略) 「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものなり。この始末に困る人ならでは、艱難(かんなん=困難に出合って苦しみ悩むこと)を共にして国家の大業は為し得られぬなり」 (中略) 「正道を踏み国を以って斃る(たおる)るの精神なくば、外国交際は全かるべからず。彼の強大に畏縮(いしゅく=おそれちぢこまる)し、円滑を主として、曲げて彼の意に順従する時は、軽侮(けいぶ=軽んじ侮ること)を招き、好親かえって破れ、ついに彼の制を受くるに至らん。」

さらに続けて

「国の陵辱(りょうじょく=他人を侮り、辱めること)せらるるに当りてはたとえ国を以て斃るるとも、正道を踏み、義を尽くすは政府の本務なり…」
内村鑑三著・稲盛和夫監訳『代表的日本人』講談社p60―64より抜粋)

西郷隆盛は徹底的に健全な道徳を基盤として国家再建を試みようとした。
純粋な意志の力が有効に働き、その志の一部は達成されたのではなかろうか?
我々日本人は、西郷隆盛の道徳的偉大さに共感し、個々人がそれを実践する事で、日本を下支えすることが出来るように思うのじゃ。

明日は『代表的日本人』のなかの二人目、上杉鷹山について述べたい。