お不動様のひとり言

お不動様のお言葉に乗せた、ほのぼの心嬉しいお話のブログ。

私は佛様の中でも、お不動様が大好きです。
お不動様のお名前の由来は、ゆるぎない悟りを求める心…ということです。

絵像では、燃え盛る火炎を背負い、眷属(けんぞく)の矜羯羅(こんがら)童子と、
制多迦(せいたか)童子を従えているのです。

このお不動様のお言葉に乗せて、
ほのぼのと心嬉しく豊かになるお話をしたいと思います。

白隠さんの『夜船閑話(やせんかんな)』ってどんな本なの(1)?

今日は今年一番の寒さが日本列島を取り巻いている。
来週は再び十一月らしからぬ暖かさがぶり返す…と言う事だが、急激な気温の変化に体温調整がついていかず、体力が蝕(むしば)まれることとなる。
インフルエンザの流行も今年は早くやって来ているとか…!

そこで今日は、「禅」を健康増進に活かす事を目的とした書物『夜船閑話』について話したいと思う。

江戸中期の臨済宗の僧、白隠禅師が、『夜船閑話』の著者である。
ここには「白隠の内観法(ないかんほう)」と呼ばれる仰臥禅(ぎょうがぜん=寝禅)について、詳しく記されている。
近年ではこの一書が、医学者や生理学者、心理学者によって再び脚光を浴び再評価され始めているのだ。

白隠禅師は、自らが禅病に陥ったことから、名医を求め、治療を試みたものの効果が現れず、宝永7(1710)年、「白幽(はくゆう)」仙人を尋ねて治病の法を学んだことに始まる。
その折に心を丹田(たんでん)と足心に治める法を会得し、ついに心身の軽安を覚えるに至った体験を、『夜船閑話』に記しているのである。

人は長期間、嘆き悲しんだり、常に何かを苦にしたり、物事を悪く捉え続けていると、「間脳」に歪みが生じ、副腎ホルモンのアンバランスを引き起こすと言われる。
逆に、臨済禅の公案(こうあん)を集め、宗の圜悟克勤(えんごこくごん)がまとめた『碧眼録(へきがんろく)』にある如く、「日々是好日(ひびこれこうじつ)」とばかりに、毎日心豊かに楽しく過ごせば、ホルモンバランスも良くなり、自ずと健康が促進出来ると言えよう。

丹田呼吸]妄想(もうぞう)の効果つもらば、一身の元気いつしか腰脚足心(ようきゃくそくしん)の間に充足して、臍下(さいか)瓠然(こぜん)たること、未だ篠打(しのう)ちせざる鞠の如けん。恁麼(いんも)に単単(たんたん)に妄想し、将(も)ち去って、五日七日乃至(ないし)二三七日を経たらむに、従前の五積六聚(ごしゃくろくじゅ)、気虚労役(ききょろうえき)等の諸症、底(てい)を払って平癒(へいゆ)せずんば、老僧が頭(こうべ)を切り、持ち去れ。
(『夜船閑話』白隠禅による健康法 荒井荒雄著 大蔵新書51頁)

この意味は、良いイメージの効果が重なると、身体中の元気が腰・脚・足心の間に充満し、臍下丹田(せいかたんでん)は瓢(ふくべ=瓢箪のこと)の様に丸く盛り上がって力が漲り、固くなるであろう。
この様に脇目も振らず、只管(ひたすら)観想し、五日・七日・三週間と過ぎれば、五臓六腑(ごぞうろっぷ)もよくなり、ノイローゼも治り、肝臓・脾臓の疲れも箱の底を払ったように全快する。
それが治らなかったなら、私の老いた頭を切って持っていけ!と言うことである。
心身一如の精神で、徹底的に「観想」を行うとよい。

明日は、以前にも少し述べたが、観想の一種「軟酥(なんそ)の法」について詳しく述べたいと思う。