収穫逓減(しゅうかくていげん)の法則って何なの?
一定の土地で農作物を作る時、そこに注ぎ込まれる資本と労力の増加に伴い、生産量は上がっていく。
ところがある臨界点に達すると、生産量が伸び悩むこととなる。
この現象を支配する法則の事を「収穫逓減の法則」というのじゃ。
この法則が当てはまるのは、農産物に限った事ではない。
学問であっても同様の現象が起こる。はじめのうちは学習すればするほど、あるいは研究すればするほど、新しい知識が極端に増大する。
よって非常に能率よく学習や研究が進んでいく。
ところがある程度のレベルに達すると、目に見えぬ壁のような障害にぶち当たってしまう。
何十年も研究を重ねているのに、その割には今ひとつ成果をあげることが出来ずに悶々とする研究者がいる。
彼らの研究状況は既にこの「収穫逓減」の状況に突入しているのであろう。
知識が蓄積し飽和状態の様相を呈してきたと感じたら…、否、飽和状態一歩手前に達したら、一旦そこに踏みとどまって欲しい。
今まで培ってきた知識を整理し精選し、真逆の原理をも吸引する覚悟と自制が必要である。
そして自分なりに知識を咀嚼し、再構築することが肝要となる。
何よりも個々人の責任において知識の精選がなされなければなるまい。
習った事をそのままにしておくと、せっかく見聞きした知識を野放しにし、やがてそれらを自然廃棄してしまう。
今まで学習し・研究した中での重要なことを、自分なりにまとめ整理・整頓すること。
これは一人一人が自己責任おいて実行しなければならぬ。知識を得たその人間が、自分の個性と向き合う形で再吟味する必要があるのだ。
多くの講習会に参加し、本を多読し、豊富な知識を手に入れているにもかかわらず、実の所何もわかっていない…という人は意外と多いもの。
自分にとって本当に共感できるもの・面白いと感じるものだけを残していく覚悟が必要!
詰まる所、不易流行(ふえきりゅうこう=不易は永遠を指す。流行はその時々の物だが、根っこは同根より生じている…事から根本は一つであるという)の志を持ち、知識の眼界(がんかい=考えの及ぶ範囲)を超克(ちょうこく=困難を乗り越え、それに打ち克つこと)していって欲しいものじゃ!