母音読みって何ですか?(2)
母音読みの効用について!
今日は母音読みの効用について話してみることにする。
まず母音読みを始める前に、普通に音読してみる。その時音読した感触や舌のまわり具合などを自分なりにチェックする。
1) どこでひっかかったか?とか、
2)息継ぎはどうだったか?
3)発音はどうか? 4)意味を理解して音読しているか?
…などなど、自分が認知出来る範囲でチェックする。
その上で丁寧に母音読みする。
丁寧に母音読みするとはどういうことか?と言えば、次にその一例を挙げて説明しよう。
… 湖の 水まさりけり 五月雨 … と言う一句は、向井去来(むかいきょらい)の作だが、これを母音読みすると、…いうういお いうああいえい あういあえ…となる。
母音音声で発する時に、はじめの五音にあたる「…いうう…」の二つ目の「う」を発声する際、若干音が弱くなり所謂「弱音」となってしまいがち。
しかしこれを持ち堪えしっかりと発声する。
しっかり発声する為には、口の形が重要だ。大きな口を開け口全体で発声する。
そうすればたとえ同じ母音が続いてもその一音一音が音として存在感を増していく。
次に「水まさりけり」…七音の母音「いうああいえい」の部分だが、最初の「い」から「う」に到る時に、思い切りよく発声する。
そうすることで、漢字で書かれている「水」の力や潔さに加え、梅雨の長雨の憂鬱さまでも体現出来る。
また同母音が続くが、とりわけ「あ」が連続する場合、出来れば若干スタッカート気味に発声するとよい。
また母音「い」と「い」の間に「え」母音が挟まれた場合、知らず知らずのうちに、「え」母音が低く、くぐもった発声になりやすい。
そこで両端の「い」母音を音を引き上げるように明るく発声すると、音声が断然聴き取りやすくなる。
最後の五音は「あういあえ」となる。
「う」から「い」に音が渡っていく折に、鼻の奥で発声することに意識を持っていく。
そうすることで最後の五音の締めとなる、「音のまとまり」が期待出来る。
このようにして丁寧な母音読みをじっくり行うことを繰り返すうちに、そこに母音音声として立ち上がってきた作品が、聴覚を通じて自らが訴えたいことを語り出してゆく。
最初は普通に音読し、次に母音読み、最後にもう一度普通読みすれば、かなり読みやすく内容も理解しやすくなっているはず!
こうしてどんな文章でも最低3回音読することをお勧めする。
母音読みがなかなか上手く出来なかったり、内容を明確に理解したい…と言う人は、ゆっくりとしたリズムで母音読みし、その後で普通読み、再び母音読み…気になるところは念入りに母音読みする。
すると、そこに書かれてある内容が、リアリティを持ち始め、その一文の本質が手にとるように理解できるようになるから不思議だ。
母音読みすることで、上手く読めるようになるだけでなく、文章読解力も身について行く。
今日から大いに母音読みし、文章読解力を身につけて貰いたいものじゃ!