「昆虫テクノロジー」って何なの?(1)
現今の世界を見渡せば、迫り来る食料危機や増え続ける有機廃棄物等々…地球温暖化以外にも数多くの難題が山積みされている。
国際連合に拠れば、現在約8億1500万人が、飢餓状態に陥っているという。
これは9人に1人の割合になる。しかもアフリカでは、4人に1人が栄養不良に悩まされて続けている。
近年「飢餓人口」は減少傾向にあったものの、2017年再び増加に転じている。
そんな中で今期待されているのが、「昆虫テクノロジー」だ。
国際連合が今掲げているSDGs(持続可能な開発目標)17項目のうち、14項目を網羅する「昆虫テクノロジー」が、次に述べる「(株)MUSCA(ムスカ)」が誇る「イエバエテクノロジー」である。
45年間で1100世代に及ぶ「イエバエの品種改良」を実現し、「イエバエの優性遺伝子」を守り続けた事で、イエバエという種が持つ可能性を開拓し、今までになかった新しい資源を作っているのが、「(株)「MUSCA(ムスカ)」だということができよう。
そもそもこの「MUSCA」という社名は、何処から来ているのか?と言えば、イエバエの学名である「ムスカ・ドメスティカ」から命名されている。
「MUSCA」はまさに、「昆虫テクノロジー」スタートアップ企業なのだ。
この会社は元々宮崎県に拠点を構えていた「(株)フィールド」が、ロシアから技術を輸入したことに始まっている。
この輸入技術の中に、「ハエの研究」があったという。
2006年には「(株)アビオス(現MUSCA)」として独立し、「(株)フィールド」で行なっていたイエバエ研究を中心に、ロシアからの「技術輸入事業」も、「アビオス」が引き継いだ形となっている。
「MUSCA」は、イエバエの1100世代に亘る地道な品種改良を経て、畜産糞尿を肥料や飼料として、100%リサイクルする「循環システム」の実用化を始めている。
宮崎大学や愛媛大学との共同研究では、プロダクトである肥料と飼料は、成長促進効果や病気耐性付与効果がある事を実証している。
この技術を用いれば、世界中の食料危機の解消も夢ではないかもしれない。